実用的な外国語コミュニケーション能力の育成が必要な中で、電子メールや電子掲示板といったCMCツールが実用的コミュニケーション能力の育成に使用されている。しかし、単にCMCを利用するだけでは、学習者間の外国語によるコミュニケーションにおいて、雑談が増え、タスク遂行に貢献する発言が少ないことにより、外国語能力が向上しないことが多い。そこで本研究では、社会的存在感と認知的存在感に着目し、タスク遂行に貢献する外国語コミュニケーション学習のためのCMCツールを開発し、そのツールの評価と授業計画の提案を目的とする。今回は主に下記の2項目について実験・実践を行った。 1) 社会的認知的存在感と外国語コミュニケーション能力の関係性を明らかにする実験を行ったコミュニケーションの媒体(音声・テキスト入力)、相手の動画の有無で、学習者の社会的存在感と認知に関わる心理的側面、パフォーマンスとして発言量、発言誤り修正数、定型表現利用数の3変数との関係性を明らかにするために実験を行い、データに対して、パス解析を行った。その結果、音声は直接的に学習パフォ一マンスに影響していることがわかった。動画は学習者の社会的存在感を向上させ、発言数や誤り修正数を向上させることが示唆された。 2) 英語コミュニケーションの授業において、発言データの収集と質問紙調査を実施した。5週間にわたり、ビデオカンファレンスとテキストチャットを英語コミュニケーションの授業で利用し、実践における評価を検討した。その結果、ビデオカンファレンスは英語コミュニケーションヘの積極性を向上させ、学習パフォーマンスの向上に寄与することがわかった。一方でテキストチャットは文法的意識を高めることは示されたが、学習パフォーマンスについては統計的有意な向上は見られなかった。
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