研究概要 |
本研究では、eJoulnalPlusを利用した文章読解・産出・評価を統合した総合的な文章学習環境の構築とその効果測定を行う。そのために、eJournalPlusのオープンソース頒布および評価研究を行う。本欄では、平成20年度の目的および対応する成果を述べる。 1システムの機能の追加開発と実装学習者のレポートや概念地図を学習者同士で共有させ、相互に議論・評価させるための協調学習機能(相互コメント機能)および、批判的読解に基づくレポートを適切に評価するための言語データ収集機能(サーバ機能)を備えたバージョンである。「eJournalPlusv1.2(server and client)」をオープンソースとして公開した。ClientとServer、およびそれらのDocumentationは日本語版と英語版をそれぞれ開発・公開している。 2プロトタイプシステムの開発・実装後、仮評価システム開発と実装の結果、学習者が作成した概念地図(ナレッジマップ)やレポートをeJournalPlusサーバもしくはWindows LiveSpaceにアップロードすることで、学習者同士で相互にコメント付与や閲覧を行える協調学習が可能になった。複数の学習者間で互いの作品から学びあうことで、文章読解・産出・評価における多角的な考察が可能になる文章学習環境を実現することができたと考える。また、eJournalPlusに特有である電子的文書を基にしたナレッジマップ作成機能が批判的読解に及ぼす効果を検証した結果、マップを利用した批判的読解では、学習者が「課題文の主題を支える根拠を指摘できる.(X^2(1, N=41)=8.389, p<01)」「対話的・生産的に意見を述べることができる(t(39)=-2.236, p<05)」という効果が明らかになった。 3実際の授業における本評価実験千葉県総合教育研究センターと協力し、千葉県の小学校・中学校・高等学校の国語授業にてeJoumalPlusが意見文生成やピアレビュー活動に及ぼす効果検証のための準備を継続している。効果検証は実践授業の一部として行う。授業ではナレッジマップ作成や相互コメント交換活動を行う予定であり、eJournalPlusが意見文生成やピアレビュー活動に及ぼす効果を検証する。eJournalPlusの評価は大学教育の範囲内でしか行われていない。初等教育から高等教育までの幅広いフィールドで効果検証を行うことにより、本研究のより一層の普及および効果検証のための文章データの大幅な増加が期待できる。
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