1.国内関連法制の調査:20年度に引き続き、1908年・1931年の二度の画期における国内のハンセン病法制について、地域における具体的な法運用のあり方を調べるため各都道府県の府県令の収集を進めほぼすべての都道府県のデータを収集しデータベース化した。法令のタイプごとの分類を行い、ハンセン病者の処遇実態には国内においても地域的差異が大きいことを明らかにした。 2.海外調査による成果の活用:20年度に行ったフィリピンとアメリカでの海外調査により収集した資料を用い、本研究課題の主要なテーマである、欧米諸国をはじめとする海外のハンセン病医学の展開と各国のハンセン病法制について分析を進めた。これらの資料は従来ほとんど研究に活用されてこなかったものであるが、当初想定していた医学史の資料としてのみならず、当該期の日本の各種疾病の実態報告なども多く含んでおり、疾病史研究に新たな知見を加えるものであることが明らかになった。 3.近代日本のハンセン病医学史の構築と法制度への影響:海外・国内調査において収集した資料をもとに、4.の海外の状況とも照らし合わせてハンセン病医学史の整理を行った。日本のハンセン病医学の特質とハンセン病流行の実態を明らかにし、両者が法制度とその運用に与えた影響を具体的に指摘することが可能となった。 4.成果の公表:上記の成果は国際ワークショップ、論考等にて公表してきたほか、研究成果公開促進費による学術図書としての刊行を目指している。
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