研究概要 |
本研究の目的は,ヒューマノイドロボットによる全身運動の自律的な学習・獲得機能を実現することである.特に本研究では,従来実現されてきた学習機能のほとんどが受動的な学習理論に基づいて構築されていることを問題点として指摘し,これに能動的な学習理論を導入することで学習の大幅な効率化を目指す.前年度ではヒト全身動作を確率モデルで表現する方法を提案した.全身運動を確率モデルとして表現することで,分散情報を利用した能動な見まね学習を実現することが容易となる.平成21年度では提案モデルをさらに拡張し,受動的または能動的に観測された多数の観測データから,運動の本質を捉えるコンパクトな動作モデルを学習する方法を新たに提案した.学習される動作モデルでは,観測データに潜む個性を低次元のパラメータベクトルにより表現することができ,任意の個性を表現した連動を生成することが可能となる.また,ヒトの動作を予測するために用いることも可能であり,この際には個性を捉えることで高精度な予測結果が期待できる.提案手法の有効性を検証するために,光学式モーションキャブチャシステムで計測されたヒトの様々な全身運動における関節角時系列データに対して提案手法を適用し,その有効性を検証した.この成果に基づいて,査読有り国内会議2件,査読無し国内会議1件の発表を行った.今後は,提案した動作モデルと強化学習を組み合わせることで,高度な運動スキルの効率的な学習を目指す.
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