本年度は、まず実験機器・設備のセットアップを行なった。そして健常大学生8名を対象に実験を行なった。具体的には、以下の内容を実施した。 1.選択反応時間課題を制作した。まずパソコン画面の真ん中に示す○を見つめるようにした。それを中心として周りに10°刻み間隔の●が1つずつかつランダムの位置に示され、90°と270°を除く34つの位置を、1セッションの中で2回ずつ反復するように設定し、34x2で計68個の視覚刺激を連続で提示した。被験者は両手それぞれにマウスを持ち、左か右かを判断し対応するほうをできるだけ早くクリックするように指示した。同課題を両手左右交差しない状態と交差する状態でそれぞれ行ない、それぞれの課題で遂行時間を計測した。 2.以上の設定で健常者(女7名、男1名、平均年齢24±3歳)を対象にプレテストを行なった。結果として、1セッション(68刺激)の実施時間は条件間で異なるが30-60秒であった。コントロールに比べ、ほかの全条件において反応時間とエラー数はともに増加し、被験者の主観的難易度も増加した。さらに、両手を交差しない場合と交差する場合において、自分の体の正中線の左側か右側の刺激に対応して「左手」や「右手」よりも、「左側の手」や「右側の手」として課題遂行する時に反応時間が比較的短く、エラー数も少ない結果が得られた。 3.磁気刺激コイル(70mmコイル、Magstim社)を購入し、経頭蓋磁気刺激用の実験装置のセットアップを行なった。また、上記のようにパフォーマンスでは本研究の仮説を支持するデータが示されたので、それに基づいて磁気刺激のタイミングや試行回数等を決定し、単発磁気刺激プロトコルを実施している。それぞれの条件下で対側・同側運動野の興奮性の変化を明確にした上で、両側運動野磁気刺激プロトコルを並行して行なっていく。
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