研究概要 |
有限要素法を用い,流体-構造連成モデルに対して数値シミュレーションを行うことで高効率のマイクロ撹拌器の動作特性を解析した.その結果に基づき,直径3mmの撹拌器を設計試作し,解析と実験により性能の評価を行った.まずアクチュエータとして,ユニモルフ圧電素子の代わりに,低い電圧で大きなパワーを出力できる積層型圧電素子を使用することに変更した.しかし,積層型圧電素子が大きなパワーを出せる反面,その出力変位が非常に小さい.その変位を増幅させる機構が必要である,さらに,細い血管の先端にアクチュエータ部を含めた撹拌器を挿入することは難しいため,積層型圧電素子が発生したパワーをワイヤー経由で効率よく転送し,ワイヤー先端部に取り付けられたエンドエフェクターを振動させる構造を考案する.効率よくマイクロ撹拌器の設計を行うため,有限要素法を用いて,考案した種々な撹拌器を流体-構造連成解析を行い,解析結果に基づき,新しいタイプの撹拌器を設計する.本機構は,積層型圧電素子の縦振動を,変位拡大機構を介して,曲げ振動と縦振動に変換し,さらに駆動周波数振動数を制御することで,ワイヤー先端に取り付けられているエンドエフェクターの動きを操り,血栓の撹搾効果を向上させることを狙っている.設計した撹絆器を実際にサイズ3mm角で製作し,入力電圧10V,50Vで正弦波0〜2.5kHzで振動させた所,10Vでは最大1.5mm,50Vでは最大5mmの振幅が得られ,目標値を大幅に超える結果となった,また,先端のエンドエフェクターに質量を付加しその位置を変えて解析を行い,撹拌器先端にエネルギが集中するような設計を行い,成果が得られた.
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