研究概要 |
血管内で形成された病的血栓を効果的に溶解するためには,血管内という限られた範囲内において最大の効果を得る必要がある.本課題は有限要素法を用いて設計した新しい攪拌器の提案とその効果を実験的に評価する方法の提案を行うものである.実験より,攪拌器は当初の期待以上の動作が得られ,その攪拌効果を定量的に評価できる事を確認した. 実績(1):小型で高出力の血栓溶解用のマイクロ攪拌器の設計と試作で得られた成果 大きなパワーを持つ積層圧電素子を梁に挟み込む構造を設計・試作し実験により振幅を計測することで,直径3mm以下,10ボルトで100μm以上の攪拌振幅が得られるマイクロ攪拌器という当初の予定を実現する事が出来た.また,攪拌器の性能を評価するために,レーザー変位計を用いて異なる駆動入力下における攪拌器の振動形態の変化を観測した. 実績(2):In-vivo血栓溶解度計測技術の開発で得られた成果 本攪拌器は圧電素子をアクチュエータとして使用しているため,センサとしても使用できる可能性がある.本研究では申請者らが提案する圧電素子の電気的インピーダンスを計測する事で血液の濃度を計測する技術を応用し,血栓治療時の血栓の溶解度評価方法を提案し実験を行った.実験に使用した攪拌対象はグリセリンまたはラット血栓を用いた.結果から,グリセリンの濃度計測により攪拌器の性能を比較する事が出来た.ラット血栓を用いた性能評価は製作した攪拌対象の安定性の問題から十分評価出来なかったが,高速度カメラを用いて血栓の動きを確認し攪拌器が血栓を破壊する所が確認出来た.
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