研究概要 |
本研究は2つのパートに分けられた.一つは課外活動経験が就職に有利となるという観念の一例として「体育会系」に注目し,わが国においてこうした考え方が(1)大正初期から昭和初期にかけ,(2)日本企業が広報と離職防止の意図をもってスポーツ振興を進めた結果台頭したこと,また(3)慢性的な不景気から労働運動が激烈を極める時期にあって,左翼思想への警戒,すなわち思想穏健の代表として出現したことを,当時のビジネス雑誌『実業之日本』の記事を分析して明らかにした. もう一つは,私立大学卒業生へのアンケート調査から,課外活動経験が現在の職場ならびに転職回数にいかなる影響を及ぼすかを検証した.結果,学校組織内の運動・スポーツ活動に参加したもの(体育会系)は,年収や初職在職期間において他に上回る傾向があることを明らかにした.
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