研究概要 |
本研究は、ボール運動の学習成果として,戦術的知識がどの程度定着されたのかを確認するために「映像を用いた状況判断テスト」を新規に開発することを目的としたものであり、本年度は以下の研究成果を得た。1)ゲーム状況場面の設定:状況判断テスト作成に関する先行研究や資料を集め、プレーヤーが状況判断をするときに必要な判断材料を踏まえてゲーム中に生じると考えられる複数の状況場面を設定した。その後、さらにバスケットボール研究に携わる専門家及び体育授業研究の専門家に対してヒアリング調査を実施し、ゲーム状況場面を確定した。2)ゲーム状況の撮影および編集方法の検討:ゲーム場面においてボール保持者が置かれている状況を可能な限り忠実に提示するために、一括提示という条件を満たす撮影方法について有識者とディスカッションを重ねた。テスト画像については、ゲーム状況を正確に読み取れるよう高画質のものにするため、ハイビジョンのデジタルビデオカメラで撮影し、その映像をワークステーションに取り込み、デジタル加工を施したものをHDMI端子搭載のプロジェクターで投影することにした。デジタル加工については、有識者から専門的知識の提供を受け、基礎的な加工技術を習得した。これらにより従来の映像ベースの戦術的知識テストでの課題であった即時性(ビデオカメラのレンズを通して収録される映像は人間の視野よりも明らかに狭いため、ビデオカメラを左右に回転させながらゲーム状況を収録せざるを得なかった)という問題を解決できる新たな映像を用いた状況判断テスト作成に向けた土台づくりができたといえる。なお、次年度に映像を用いた状況判断テストを実施する上での協力校ならびに協力教員との交渉は進んでいる。
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