表記課題を達成するための平成20年度の期間で、下記のような実験を進めた。 (1)Prop-1の結合する塩基配列を同定するために、胎齢13.5日のラット胎仔の下垂体原基の細胞分画を作製した後、抗Prop-1抗体と反応させることでクロマチン免疫沈降を行った。Prop-1が結合するDNA配列をクローニングし、その塩基配列を決定した。またネガティブコントロールとして抗Prop-1抗体の代わりに非免疫血清を用いることで、同様の操作を行った。 (2)ホルモン産生細胞に分化誘導するためのまず、iPS細胞の培養、維持する条件を検討した。マウスiPS細胞は京都大学再生医科学研究所の山中伸弥によって樹立されたiPs-MEF-Ng-20D-17細胞を使用した。フィーダー細胞は、マイトマイシンC処理を施したSNL76/7細胞を使用した。iPS細胞は、DMEM-15%FBSにて培養し、その特性を維持した培養ができているかをアルカリフォスタファーゼ染色、さらに幹細胞マーカーの免疫染色により適宜確認することとした。 (3)ips細胞への遺伝子導入の条件を検討し、トランスフェクション条件を決定した。 (4)マウスProp1c DNAを組み込んだ発現ベクターmProp1/pcDNA3.1Zeo(+)およびネガティブコントロールとしてpcDNA3.1Zeo(+)をiPS細胞にそれぞれトランスフェクションした後、Embryoid Body (EB)をDMEM-15%FBS LIF(-)中にて4日間培養することで作成した。作成したEBをDMEM FBS(-)LIF(-)中にて12日間接着培養した。その後、cDNAを作成し、Real-time PCR法によりホルモン産生細胞形成に重要な遺伝子群の発現を調べた。 (5) ips細胞が下垂体細胞に分化しているかを可視化できるようにレポーター遺伝子を細胞に導入し株化することを計画した。まずレポーターベクターを導入する際に必要な薬剤耐性型SNL76/7細胞を作成した。また、同時にレポーターベクターを作成している。
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