研究概要 |
当該年度では研究課題「非分節な人間機械相互作用を通じた自己組織化型模倣学習機構の構築」における二年度目として,(1)提案手法を情報論的学習理論の視点から数理モデル的に精緻化と,(2)ヒューマノイドロボットへの適用を目指して研究を行なった.前者の情報論的学習理論の視点からの精緻かについては,従来ヒューリスティックに基づいて行っていたキーワード抽出を,二段階符号化による最少記述量基準に基づいた局所探索手法を適用する事により,MDL基準というより情報論的に適切と考えられる手法に基づいて実現した.この研究成果を学術論文として発表した.しかしながら,この手法では,十分では無く,全プロセスの統合を行う為に,ノンパラメトリックベイズ法に基づくモデルに再定式化を進めた.また,一方で,いかに非分節な他者動作からの模倣学習を行なうかについては,他者の身体動作を観察した情報をみずからの身体動作へと連続的な環境の中に於いて,マッピングする視覚・体性感覚統合が不可欠であることから,カーネル正準相関分析を用いた構成論的なモデル構築を行なった.これらの成果は現在,学術論文として発表すべく準備中である.情報論的学習理論の視点からの完全な統合は,ノンパラメトリックベイズ法の上で,実現可能性が見えつつあるが,非常にチャレンジングな課題であり,当該研究期間で完成させることは出来なかった.また,ヒューマノイドロボットを用いたデモ環境の構築については完成に至らなかったが,周辺環境の整備を行なった.研究期間終了後,早急に実現する予定である.これらの成果は,自律的に動作獲得を行なう人間知能の構成論的研究としても,知能ロボット研究の立場からも意義深いものである.また,当該研究成果を含めた書籍の出版を行ない,研究成果の発信を行なった.
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