研究課題
近年、ヒト身体運動において、筋だけではなく、腱の役割の重要性が指摘されている。しかしながら、筋肉と比較して腱のトレーニングなどの効果についての報告はあまりなされていない。本研究は、ヒト腱のトレーニングの可能性を検証するために、異なるスポーツ競技選手を対象としてアキレス腱・膝蓋腱の形態(太さ・長さ)測定を、超音波筋腱イメージング装置を用いて行った。本研究成果は、測定した超音波映像から分析するソフトウエアの開発を平成20年度に行い、高解像度の比較的ノイズの低い超音波筋腱イメージが得られた。このソフトウエアを利用して、平成21年4月から650名の競技スポーツ6年以上の経験を有する選手を対象に形態測定を実施した。その結果、水泳選手では左右差が見られず、比較的細い腱が観測され、逆に、槍投げや跳躍の陸上選手にのみ左右差として利き足のアキレス腱肥大が認められた。他の競技選手では左右差が認められず、筋と異なり、腱の特異的なトレーニング適応が起こっている可能性が示唆された。つまり十分な強度のトレーニングを行わないと腱の形態を変化させることができない我々の仮説をサポートする結果となった。今後、スポーツ競技レベルと腱形態・機能特性の関係、さらに競技シーズン通しての腱形態・機能特性の変化、トレーニングによる縦断的研究、スポーツ種目・動作に合わせた身体を適応させていく積極的な筋腱トレーニングプログラムの開発など行っていく必要性が指摘された。
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Clinical Biomechanics (Epub ahead of print, Accepted In press)
Journal of Neurophysiology 103
ページ: 1262-1274
Journal of Physiology 1587
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