インターネットを中核として情報環境の再編が不可避に進行している現在、情報技術とメディア、人間との望ましい関係をデザインしていくためには、メディアの送り手と受け手、情報技術の専門家と非専門家を媒介し、協働を可能にする対話の回路が不可欠である。ところが、科学技術社会論における「科学技術コミュニケーション」と、メディア論やカルチュラル・スタディーズの薫陶を受けた「メディア実践」は、互いに問題関心を共有しつつも、まったく異なる学問的パラダイムのもとで今日まで展開しており、その理論的/実践的接合が急務である。そこで本研究では、このふたつの思潮の接点を歴史社会学的に見出し、包括的な概念枠組みを構想した。
|