本研究では、以下の4つの研究を実施している。 研究I「一斉講義形式の遠隔授業における学習者特性別教育効果の精査と基準化」 一般的な一斉講義形式による教授法を、以下の研究II IIIの教授法と比較する基準とするため、これまでの先行研究により得られた知見やデータを精査し、あらためて共分散構造分析手法により分析評価し、比較可能な因果モデルを導いた。本成果は、電子情報通信学会総合大会2009で発表し、現在論文執筆中である。 研究II「学習者間の討論を主体とした遠隔授業における教育効果測定」 学習者間の討論を主体とする教育活動を、TV会議システムを介した環境で実施した。本研究では、実対面および視線が一致する場合としない場合の3形態における比較教育効果測定を行い、共分散構造分析手法により分析評価し、教育効果の差異を明らかにすることを目的とした。研究Iの成果との比較可能なモデルを分析中であり、研究Iの一斉講義形式より視線が一致する重要性が顕著に現れることが分かった。現在論文執筆中である。 研究III「学習者間の遠隔協調学習による教育効果測定」 卒業研究において、2大学間の学生同士を混成したグループを形成し、TV会議システムを利用して、視線が一致する場合と不一致の場合における遠隔協調学習を実施中である。本研究では、学習者主観評価を中心に、教育効果の差異を明らかにすることを目的とした。これまでの調査により、研究I IIよりも、特徴的な要因が学習者コミュニティーの形成に寄与しており、研究途中ではあるが速報として、学会発表を行う。 研究IV「双方向遠隔教育の教授方略研究」 研究I〜IIIで得た結果をもとに、主要な教育活動である一斉講義・討論・協調学習における、比較教育効果分析を行い、効果的な双方向遠隔教育教授方略をまとめる。研究I〜IIIにおいて比較可能なモデルを構築できる見込みが立ったことから、次年度には意義ある教授方略をまとめることが期待できる。
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