研究概要 |
本研究の目的は,映像コンテンツの記録時に電子透かしを埋め込むことで,映像コンテンツのフォーマット変更と意図的な改変を区別する方式を確立することである.平成20年度は,当該方式を構成する『多様なフォーマット変換に対応可能な映像用電子透かし手法の検討』を実施した.具体的には,ランダム歪みとアフィン変形などの幾何変形に耐性を持つ映像用電子透かし手法を確立した.自明な電子透かし手法として,歪みに耐性を持つ透かし手法を基礎とし,アフィン変形のパラメータを全探索すれば両変形に対応できるが,探索に膨大な時間がかかってしまう.本研究で確立した手法では,カラー画像を構成するY, U, V平面やR, G, B平面などの要素平面に不規則変形を加えても,各平面が同じ不規則変形を受けるという性質に着目し,情報埋め込み時には,2つの要素平面に埋め込み情報を表現する同一の画像パターンを重畳し,検出時には,2つの平面の相互相関を算出することで,埋め込み情報を検出することで,拡大縮小と回転の2次元探索のみで情報の検出が可能である.本手法をソフトウェアとして試作し,情報埋め込み画像の画質評価を実施するとともに,情報埋め込み画像にアフィン変換およびランダム歪みを組み合わせた幾何変換を施し,当該画像の情報検出率を測定した.その結果,多様なフォーマット変換に対して当該手法が有効であることを確認した.
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