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2008 年度 実績報告書

動学的最適化型マクロ経済モデルによる気候変動安定化政策評価のための費用便益分析

研究課題

研究課題/領域番号 20810002
研究機関東北大学

研究代表者

中嶌 一憲  東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (70507699)

キーワード地球温暖化 / 厚生経済学 / 最適成長モデル / 温暖化被害のフィードバック / BaUシナリオ / 繰り返し過程によるシミュレーション分析 / 費用便益分析 / 等価的偏差
研究概要

本年度の研究目的は, 地球温暖化評価の分野で用いられている環境経済モデルの理論的未解決部分に対して厚生経済学の立場から理論的精査(理論分析)を行うことである. 本年度の研究成果は以下の通りである.
第1に, 市場経済への温暖化被害のフィードバックを考慮したBaUシナリオとしての市場経済の定式化に関して, マクロ経済成長理論を用いた理論的考察から, 以下の2点が示された.
(1) 市場経済の問題において, 温暖化の外部性は最適化問題の制約条件に含まれないこと
(2) 市場経済と社会的最適の2つの経済の動学体系は経済活動および温暖化による外部性から成る微分方程式体系で表現されるが, それらは全く異なる体系であること
第2に, 経済活動への温暖化被害のフィードバックを考慮した市場経済の問題を非線形計画問題として解くために, 資本ストックおよび温暖化被害に着目した繰り返し過程による計算から, 以下の2点が示された
(1) これまでのBaUの値は過小評価であると考えられること
(2) 経済活動への温暖化被害のフィードバックを考慮した市場経済の問題は, それを考慮しない場合のBaUと比較して, 大きくはないものの差が生じること
第3に, 等価的偏差(EV)の概念を用いたマクロ経済モデルの便益評価理論の提示においては, 温暖化対策による直接効果の計測だけでなく, 効用の変化分を貨幣タームで評価した福祉効果, 生産および排出権収入の変化による所得変化効果, 社会的費用を表す投資の変化分に分割し各効果の計測を行うことができることを費用便益分析の観点から提示した.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 「温暖化の危険な水準」を検討する際の意思決定基準とその適用2008

    • 著者名/発表者名
      中鳥一憲, 林山泰久, 森杉壽芳, 大野栄治
    • 雑誌名

      環境システム研究論文集 Vol.36

      ページ: 69-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of Possibilities of Climate Stabilization Policy considering Different Discount Rates : Simulation Analvsis using the Modified RICE Model2008

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Nakajima, Yasuhisa Hayashiyama and Hisa Morisugi
    • 雑誌名

      Tohoku Economics Research Group Discussion Paper No.230

      ページ: 1-23

  • [学会発表] 「温暖化の危険な水準」を検討する際の意思決定基準とその適用2008

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲, 林山泰久, 森杉壽芳, 大野栄治
    • 学会等名
      第36回環境システム研究論文発表会
    • 発表場所
      名城大学
    • 年月日
      2008-10-18
  • [学会発表] 温暖化被害を考慮したBaUシナリオに関する考察2008

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲, 林山泰久, 森杉壽芳
    • 学会等名
      環境経済・政策学会2008年大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2008-09-28

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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