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2009 年度 実績報告書

動学的最適化型マクロ経済モデルによる気候変動安定化政策評価のための費用便益分析

研究課題

研究課題/領域番号 20810002
研究機関東北大学

研究代表者

中嶌 一憲  東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (70507699)

キーワード気候変動問題 / 厚生経済学 / 動学的最適化モデル / 費用便益分析 / 等価的偏差 / 福祉効果 / 気候安定化政策 / 政策シミュレーション
研究概要

本年度の研究目的は,昨年度に検討した理論分析の結果を踏まえて,多地域・動的な環境経済モデルの構築とそれを用いたシミュレーション分析による,気候安定化政策の経済評価(実証分析)を行うことである.本研究では気候安定化政策のシナリオとして,(1)基準シナリオ,(2)CO2濃度450ppm安定化,(3)CO2濃度550ppm安定化,(4)CO2濃度650ppm安定化の4つのシナリオを想定している.本年度の研究成果は以下の通りである.
第1に,気候安定化シナリオの選択にいくつかの意思決定基準を適用し評価を行った.その結果,以下が示された.
(1)全球規模では,いずれの意思決定基準を用いても,CO2濃度650ppmシナリオが選択される結果となる.一方,日本への適用を行った分析では,多くの意思決定基準においてCO2濃度650ppmシナリオが選択されるものの,より悲観的な立場を重視する意思決定基準を用いた場合には,より厳しいCO2濃度550ppmシナリオが選択される結果となる.
第2に,気候安定化政策の社会的便益を評価するために等価的偏差(EV)との関係に着目し,等価的偏差を福祉効果,所得効果,投資の変化分の各効果に分割することによって,これらの効果を計測した.その結果,以下が示された.
(1)気温変化による効用関数への影響がある場合,全ての地域及び全てのシナリオにおいて,社会的便益に対する正の福祉効果が確認された.また,福祉効果は気温変化による影響の大きさに依存し,気温変化による影響が大きいほど,より厳しい気候安定化政策の福祉効果は大きくなることが示された.
(2)気候安定化政策が厳しくなるほど,気温変化による効用関数への影響を考慮しない場合,全ての地域のEVが減少するのに対して,効用関数への影響を考慮した場合,EVが増加する地域と減少する地域に分かれることが示された.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 途上国における環境クズネッツ曲線の成立可能性2009

    • 著者名/発表者名
      林山泰久, 菊池愛美, 中嶌一憲
    • 雑誌名

      地球環境研究論文集 Vol.17

      ページ: 153-162

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CVMによるブナ林の経済価値の計測2009

    • 著者名/発表者名
      大野栄治, 林山泰久, 森杉壽芳, 中嶌一憲, 佐尾博志
    • 雑誌名

      環境システム研究論文集 Vol.37

      ページ: 283-290

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 温暖化による日本の被害コストについて2009

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲, 肱岡靖明
    • 雑誌名

      環境経済・政策学会2009年大会報告要旨集 (CD-ROM)

  • [雑誌論文] 地球温暖化による熱中症死亡リスクの経済評価:CVMによるVSLの計測2009

    • 著者名/発表者名
      大野栄治, 林山泰久, 森杉壽芳, 中嶌一憲
    • 雑誌名

      地球環境研究論文集 Vol.17

      ページ: 183-192

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地球温暖化のマクロ的経済評価の系譜と知見2009

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲, 林山泰久, 森杉壽芳
    • 雑誌名

      地球環境 Vol.14

      ページ: 299-307

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 干潟・ブナ林の生物多様性維持機能の経済評価:CVMによるアプローチ2009

    • 著者名/発表者名
      大野栄治, 森杉壽芳, 林山泰久, 中嶌一憲
    • 雑誌名

      地球環境 Vol.14

      ページ: 285-290

    • 査読あり
  • [学会発表] CVMによるブナ林の経済価値の計測2009

    • 著者名/発表者名
      大野栄治, 林山泰久, 森杉壽芳, 中嶌一憲, 佐尾博志
    • 学会等名
      第37回環境システム研究論文発表会
    • 発表場所
      明星大学
    • 年月日
      2009-10-25
  • [学会発表] 温暖化による日本の被害コストについて2009

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲, 肱岡靖明
    • 学会等名
      環境経済政策学会2009年大会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      2009-09-27
  • [学会発表] 途上国における環境クズネッツ曲線の成立可能性2009

    • 著者名/発表者名
      林山泰久, 菊池愛美, 中嶌一憲
    • 学会等名
      第17回地球環境シンポジウム
    • 発表場所
      沖縄大学
    • 年月日
      2009-09-12
  • [学会発表] 地球温暖化による熱中症死亡リスクの経済評価:CVMによるVSLの計測2009

    • 著者名/発表者名
      大野栄治, 林山泰久, 森杉壽芳, 中嶌一憲
    • 学会等名
      第17回地球環境シンポジウム
    • 発表場所
      沖縄大学
    • 年月日
      2009-09-12
  • [学会発表] 動的最適化モデルを用いた気候安定化政策に関する費用便益分析2009

    • 著者名/発表者名
      中嶌一憲
    • 学会等名
      東北大学生態適応グローバルCOE第22回生態適応セミナー
    • 発表場所
      東北大学大学院生命科学研究科
    • 年月日
      2009-08-12

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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