【成果】熊本大学臨海実験所の支援を受けて、有明海・八代海および天草諸島沿岸にて海洋無脊椎動物50種、および海水や干潟砂泥などの海洋環境サンプルの採集を行った。それらから機能発現に十分な品質をもった海洋メタゲノムの精製法を確立し、平均インサート長が約4kbpのプラスミドメタゲノムライブラリを約30000クローン、および平均インサート長が約30kbpのコスミドメタゲノムラリブラリを約50000クローン作成に成功した。 それらに対して、酵母および細菌を用いた抗微生物アッセイおよび、薬剤耐性獲得アッセイによりスクリーニングを行った結果、合計21の薬剤耐性クローンを見出した。それらのうち8クローンについて、内部配列を解析した結果、当初の目的であった新規生理活性物質の生合成遺伝子と推測される遺伝子クラスターを見出した。 【意義】99.9%が培養不可能とされる海洋微生物を対象に機能発現まで可能な高品質メタゲノムライブラリを作成する技術を確立した事は、莫大な海洋微生物遺伝子資源を有効利用するための基礎的な結果である。また新たに開発した、薬剤耐性遺伝子を指標にした、未知生理活性物質生合成遺伝子の探索法を、作成したメタゲノムライブラリに適用し、実際に目的である遺伝子クラスターの一部を取得できたことで、本手法の可能性を示す事ができた。
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