研究概要 |
平成21年度は,前年度に構築した連鎖的流動のための空間相互作用モデル,ならびにその効率的計算アルゴリズムを,様々な都市システム分析へと応用することを試みた.具体的な研究項目は,(i)周回行動を考慮した施設配置問題,(ii)産業連関構造を考慮した都市構造のダイナミクス分析,(iii)経路選択を考慮した情報ネットワークにおけるマルチパス・ルーティング技術の構築,の3項目である. 研究項目(i)では,都市システム分析で古くから研究されている施設配置問題に対し,本研究課題の主テーマである連鎖的流動(周回行動)の観点から一般化を試みた.その上で,連鎖的流動が,その配置パターンに大きく影響を与えることを明らかにした.研究項目(ii)は,空間相互作用モデルによって都市構造のダイナミクスを記述し,同時に産業連関構造における連鎖的流動に着目したものである.これにより,従来は考慮できなかった,複数都市活動分布の相互連関構造を考慮することが可能となった.研究項目(iii)では,本研究課題で構築した連鎖的流動のための効率的計算アルゴリズムを,情報ネットワークじょうにおけるマルチパスルーティングへと応用したものである.経路選択(連鎖的流動)ならびに複数経路(計算量の効率化)という観点から,従来のルーティング・アルゴリズムの一般化に成功した. 以上の成果については,国内外の学会への積極的な投稿・発表を行った.また,本年度までの公表できなかった部分については,今後も更なる対外的発表を行う予定である.
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