広告効果を測定するにあたり、多くが露出量のデータを用いている。しかし広告を管理する問題を考えた場合、マネージャーがコントロールできるのは広告露出量ではなく出稿量である。本研究の目的は広告効果を露出量ではなく出稿量で測定する広告管理モデルをベイズモデリングにより構築することと、そのモデルを用いて広告出稿量のカスタマイゼーションについて示唆を得ることである。特に平成21年度は以下の成果を得た。 (1) 広告露出モデルの改良 20年度の成果である、パラメータに消費者間の異質性を考慮した広告露出モデルについて、Abe(Journal of Marketing Research 1997)でのモデルを参考に改良を行った。 (2) 広告管理モデルを用いたシミュレーション 20年度の成果である、広告管理モデルに含まれるパラメータを規定する要因の分析結果を利用し、消費者を、家計の性別(家計構成員の女性率)と家計構成員の平均年齢によって4つのセグメントに分類し、あるブランドのGRPを変化させたときのシェアの変化率を、セグメントごとに評価した。また、あらかじめセグメントの基準を決めておくア・プリオリセグメンテーションだけでなく、家計をシェア変化率の高い順にセグメント化し、各セグメントの特性を事後的に評価することで、どのようなセグメントにテレビ広告を出稿すると効果が大きいか、反対にどのようなセグメントには出稿の効果が無いかを判断するシミュレーション分析も行った。 (3) 広告露出モデルの拡張 消費者ごとに、毎期何回テレビ広告に露出するかをモデル化した広告露出モデルについて、状態空間モデルを用いて動学化した。
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