研究概要 |
平成20年度は4件の学会・国際会議発表を行った。これらの研究成果は大きく2つに分けることができる。 (1)一般化した償還条項付きオプションの評価:売り手と買い手の両者が権利行使可能な金融派生商品のペイオフを一般化し、定式化および価格評価を行った。さらにいくつかの例として転換社債、仕組債(ダブルバリア型エクイティリンク債、パワー・リバース・デュアルカレンシー債)などを取り上げ、売り手および買い手が権利行使をすべき閾値(最適行使境界)の解析的な性質を導いた。このような金融派生商品の価格評価を行ったことは実務上重要な意味をもっと考えられる。 (2)原資産価格が不連続な点をもつ場合の償還条項付きロシアンオプションの評価:原資産価格が連続の部分は幾何ブラウン運動にしたがい,ジャンプはポアソン過程により発生し,そのジャンプ幅の対数が両側指数分布にしたがうジャンプ拡散過程による償還条項付きロシアンオプションの価格評価を行った。その結果として、売り手と買い手の最適行使境界および価格式を解析的に求められたことは大変意義がある。 以上の研究成果は日本ファイナンス学会・アジアファイナンス学会2008合同国際大会、Bachelier国際会議、国際シンポジウムISORA2008などにおいて発表を行った。これは研究の目的および研究実施計画の観点から十分な成果であると考えられる。
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