静的な超深海底泥中の微生物生態系を明らかにする目的で、底泥から直接全RNAを抽出し、cDNAライブラリーの作製とDNAライブラリーとの比較を試みた。世界最深部マリアナ海溝底泥は、大深度小型無人探査機「ABISMO」での採泥に成功したが、含まれる微生物は予想以上に微量だった。そこで、まずは伊豆-小笠原海溝超深海底泥で予備実験を行い、巨大生物を含む底泥は、周囲の底泥よりクロロフレクサスの割合が有意に少ないことが示唆された。地質学的に静的な環境でも大型生物との共存により、活動状態にあるバクテリアの分布が不均一になることが示唆された。
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