研究概要 |
日本の漢文訓読の研究は目覚しい成果をあげ,日本語史の研究に多大な貢献をしたばかりでなく,漢文訓読が日本の知識文化の形成に深く関与したことを解明しつつある。ただしそれは,古典漢文(文語)資料を中心とした作業であって,中国口語表現を含む漢文の訓読の研究は甚だ少い。この学術的背景の中で,本研究課題の代表者は,日本書紀中の中国口語起源漢語の箇所の訓点資料を具体的に調査して解明する研究に着手し,国内の訓点語学会や国際会議に於て研究発表を重ね,単行研究書『日本書紀における中国口語起源二字漢語の訓読』を刊行した(2009年3月)。引き続きまた,初唐末に翻訳が成立して間もなく日本に将来された金光明最勝王経の平安初期訓点資料を調査して,この問題に関する考察行い。訓点語学会において研究成果を発表した。一方で,中国口語の認定自体に中国語研究者による見解の相違も存在するので,国際ワークショプにおいて研究発表して国内外の専門家との協議を行った。とれらを通して,日本の漢文訓読という学習形態の特徴を解明した。
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