研究課題
本研究の主な目的はこれまで日本でほとんど研究されてこなかったロシア領アメリカの経営を解明し、近世北太平洋周辺における国際経済史を明らかにするととであり、特に同社の貿易統計を中心とする基礎史料を調査・収集することである。このため研究代表者は通常学期期間中を利用して所属機関である北海道大学所蔵のロシア語文献、スラブ研究センター所蔵のワシントン・ナショナル・ライブラリーによる「ロシア・アメリカ会社」マイクロ資料を調査した。さらに、9月にはサンクト・ペテルブルクの歴史文書館所蔵の「ロシア・アメリカ会社」フォンドと図書館の雑誌記事を、11月にはモスクワの古代文書館で「ユーディン」フォンドと茶貿易に関する雑誌・文献中料を調査した。この結果、統計資料とそれに付随する文書史料の全体像を把握することができ、膨大な史料の所在がほぼ明らかとなった。現在ロシアの国立文書館の史料を複写化するには、文書館側から高額費用を請求されるという問題があり、日本に持ち帰ることができた史料はごく一部である。しかしこれらは日本で史料の所在自体がほとんど知られてなかったものであり、今後効率的な調査作業を進めていく上で必要不可欠な情報である。また、史料調査に重点をおいたことで発表の機会が確保できなかったが、関連する問題について、イルクーツクにおける国際シンポジウムに報告書を提出し、他の科研においても茶の取引に関する調査報告を行った。また本科研のテーマと深く関わる学位論文に加筆・修正を行い・査読を経て12月に北海道大学学術刊行助成金を獲得した。
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SIBIRSKOE OBSCHESTVO V KONTEKSTE MIROVOI I ROSSIISKOI ISTORII(XIX-XXI vv.)Konferentsiia posviaschena 200-letiiu so dnia rozhdeniia general-gubernatora Vostochnoi Sibiri N.N.Murav'eva-Amurskogo. 1-2 oktiabria 2009g., Irkutsk. (現物未入手につき不明)