初年度の現地調査の結果、アントニオ・カンピ作品のうちミラノのサンタンジェロ聖堂ガッララーティ礼拝堂とミラノ近郊の巡礼地インヴェリゴの聖堂の作品に研究を絞ることとなった。前者はミラノ北辺の聖カテリーナ巡礼地への注文者の崇敬に結びつていると判明し、後者とともにカトリック改革期における巡礼地と美術の関係、民衆的信仰心により生まれたイメージの排除と残存の問題という更なる研究テーマへ繋がった。画家の制作背景に関する研究の一環として外国支配下にあった16世紀のミラノにおける外来の芸術家と地元画家の軋轢を明らかにした。
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