交付申請書で示した本年度研究計画5項目とそれに対応する研究実績は、次のとおりである。(1)研究拠点を大阪大学人間科学研究科に定め、グローバルCOEプログラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」と連携する点については、当該拠点における共同研究「オルタナティブ・ジャスティスの世界的動向に関する共同研究」との共催による研究集会を4回開催し(10月4-5日、12月6-7日、1月24-25日、2月7-8日)、日本国内研究協力者との共同作業によりオルタナティブ・ジャスティスの理論構築を進めている。(2)ケニア国立博物館メル博物館シニアキュレーターのN.ギチェレを研究協力者兼ケニア側リーダーとすることで日本-ケニア間の国際協働として発展させる点については、ギチェレのナイロビ博物館への転勤によって当初の予定を若干変更せざるを得なかったが、(3)代表者のイニシアティブによって推進してきたメル博物館共同事業の他のメンバー(とくに郷土史家S.A.ムガンビ)の協力を得て、メル(S.A.ムガンビ)・ナイロビ(N.ギチェレ)・大阪(石田)間で連絡を密にして進める体制が整っている。(4)本科研による代表者のケニア出張は実現しなかったが、メル博物館を拠点とするオルタナティブ・ジャスティス研究、とくに民族誌事業は順調に進展している。本年度に得た研究成果のひとつがイゲンベ固有法に関する100ページ弱の詳細な英文報告(サバ博物館刊行論文集所収)である。(5)オルタナティブ・ジャスティスを主題とする国際ワークショップの開催については、ルーヴェン・カトリック大学のS.パーメンティア教授を招聘して2月7-8日に大阪大学で開催した。本ワークショップは、移行期社会におけるオルタナティブ・ジャスティスの可能性と課題を主題としたものであり、その成果は平成21年度上半期に刊行する予定である。
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