1.デトロイト市内、およびディアボーンを含むその近郊にある複数のモスクを訪問し、調査を行った。とりわけ、ネイション・オブ・イスラム(NOI)のモスクやNOIとは異なる方向で運動を展開したアフリカ系アメリカ人ムスリムによる組織のモスクにおいては、各モスクのリーダーやメンバーたちにインタビューをするだけでなく、今後も連絡を取り合い長期的な信頼関係を築いていくことができるよう配慮した。これは、デトロイトという地域で新たにフィールドワークを行っていくうえで不可欠であるだけでなく、今後ますます求められていくであろう、研究の双方向性の確保という点でも重要性が高い。また、デトロイト市内およびその近郊において、博物館や図書館を訪れ、デトロイトという地域の特殊性とそのなかでのアフリカ系アメリカ人、ムスリム移民の生活をより深く理解するために、資料を収集した。2.ニューヨークでは、これまで行ってきたフィールドワークで培ったネットワークを用い、さらなる調査を行った。これまでの成果のひとつである博士論文のコピーを、かつてフィールドワーク中に出会ったムスリムたちに手渡すと同時に、その後の変化について聞き取りを行った。これは、研究の双方向性の確保という意味で重要であると同時に、現在劇的な変化の波にさらされているハーレムという場所での生活の変化を知る上でも重要であった。また、ニューヨーク在住の社会学者、テリー・ウィリアムズやウィリアム・コーンブルムと複数回に渡って研究打ち合わせを持ち、これまでの成果を確認するとともに、今後の調査の方向性についても意見を交換した。
|