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2009 年度 実績報告書

中世仏教絵巻の制作・享受・交流の「場」とその文化史的背景に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 20820071
研究機関独立行政法人国立文化財機構

研究代表者

土屋 貴裕  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 研究員 (40509163)

キーワード美術史 / 日本中世 / 絵巻
研究概要

本研究は、中世仏教絵巻の制作と享受、交流の実態を、仏教絵巻成立をめぐる様々な「場」やその文化史的背景から明らかにすることを目的とする。具体的には、諸本の絵と詞の詳細な対校といった絵巻研究の基礎的方法を踏まえながら、それぞれの仏教絵巻が初発の場から離れて、様々な場において伝播・共有されるようになった時、画面やストーリーの表現にはどのような改変がなされたのか、それらのイメージがどのような機能を持ちながら、人々の信仰や世界観を逆に形成していったのかを、隣接諸学の成果に学びつつ、その背景にある文化史的背景の解明を通じて明らかにする。
研究終了年度となる本年度は、中世仏教絵巻をめぐる多様な「場」の解明のため、物語絵、説話画、近世模本といった広範囲の作品調査を進めるとともに、その成果に基づいた研究全体のとりまとめに向けた総合的分析を行った。調査は以下の作品の実見がかない、画像資料、および関連テクストの整理(翻刻、諸本との対校)を進めた。
「遊行上人縁起絵」(清浄光寺蔵)、「光明真言功徳絵」(明王院蔵)、「当麻寺縁起絵」(当麻寺蔵)、「宮室図」(東京国立博物館蔵)、「華厳五十五所絵(善財童子歴参図)」(根津美術館蔵)、「釈教三十六歌仙絵模本」(早稲田大学図書館蔵)、「是害房絵模本」「称讃浄土佛摂受経(中尊寺経)」他(東北大学附属図書館蔵)
本研究により、中世仏教絵巻はそのモティーフや型を、他のジャンル、媒体の作品と様々なレベルで交流、交換させながら成り立つことが明らかとなり、あわせて、制作や享受の多様な「場」を、具体的な作品に即して実証的に提示できた点は特筆される大きな成果であると確信する。ただし、二年間という限定された期間内では、中世仏教絵巻全てを網羅的に考察することはもとより不可能である。研究期間終了後も継続的に考察を深め、さらなる成果公表に努めたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 鉄心斎文庫蔵「伊勢物語画帖」について2010

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 雑誌名

      美術研究 399号

      ページ: 1-36

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      倉田実・久保田孝夫編
    • 雑誌名

      王朝文学と交通(平安文学と隣接諸学7)(竹林舎)

      ページ: 310-336

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      浅井和春監修
    • 雑誌名

      イメージとパトロン(ブリュッケ)

      ページ: 85-102

  • [学会発表] 「異国」をこしらえる-「玄奘三蔵絵」をめぐって-2009

    • 著者名/発表者名
      土屋貴裕
    • 学会等名
      東京文化財研究所第43回オープンレクチャー
    • 発表場所
      東京文化財研究所
    • 年月日
      2009-10-02

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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