1.研究目的:本研究は、アジアの伝統音楽の代表例としてインドネシアのガムランを取り上げ、現地での伝承および学習方法に基づき、日本の学校教育にガムランを導入する上で重要と思われる視点を提示し、教員養成における教材開発を行うことを目的とする。 2.平成21年度研究内容:第2年次は「ガムランの伝承と学習法」に焦点をあて現地調査を行うと共に、第1年次に購入した楽器を活用し、教員養成でのガムラン実習を始め、教材開発も行った。具体的には以下の通りである。 (1)海外調査2010年8月3日~24日(インドネシア バリ島および西ジャワ州バンドン市) バリ島にてガムランと観光の関係の実態調査を行い、CDや文献等の資料収集した。続いて、西ジャワ州バンドゥン市のインドネシア国立芸術大学バンドン校および芸術高校バンドン校を見学し、図書館において文献収集を行い、さらにガムランや伝統音楽の教授法についての実習も行った。現地の音楽家と活発な意見交換が特に有意義であった。 (2)教員養成におけるガムランの実習の開始と教材開発 岩手大学教育学部での様々な授業(音楽科教育法(中)、総合演習、基礎ゼミ等)および現職教員のための研修でガムランの実習を取り入れ、教員養成における教材開発を行い、「異文化の体験と理解」に大きな成果が見られた。 (3)レクチャー・コンサート「西ジャワの伝統音楽の夕べ」の実施(11月20日於:岩手大学) 日本で唯一の西ジャワのガムラン演奏団体パラグナ・グループを招聘し、学内の学生はじめ全学の教職員、さらには岩手県の音楽教員や広く地域にも一般公開する形で行った。教員養成のための学習として大きな効果を挙げただけでなく、鑑賞教室や公開講座等への要望も寄せられ、地域貢献も含めて、大きな成果があった。 (4)「ガムラン入門」のテキスト&楽器紹介DVDの作成 大学院の授業を活用して、「ガムラン入門」のテキストや「ガムランの楽器紹介」DVDを作成し、(3)でのコンサートや、その後に行った教員研修、学会でのワークショップで使用し、教材としての内容の検証も行った。
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