研究概要 |
○目的:ポジティブ思考(認知処理),ネガティブ思考(認知処理)といった偏った自己認知を行う個人の情報処理のメカニズムについて明らかにすることを目的とした。また,ポジティブ思考(認知処理)やネガティブ思考(認知処理)がパフォーマンスに与える影響について明らかにすることを目的とした。特に,これまで焦点が当てられてこなかったポジティブ思考(方略的楽観主義)の情報処理過程と,適応的な悲観者である防衛的悲観主義の情報処理過程やその影響を探っていくことを目的とした。 ○調査参加者:大学生269名 ○使用尺度,使用変数:認知的方略尺度,状態不安尺度,達成目標尺度,学業成績,学習時間 ○分析方法:構造方程式モデルの推定によって検討 ○結果:防衛的悲観主義者と方略的楽観主義者とでは,学業達成につながるプロセスが異なることが示された。防衛的悲観主義者はメタ認知方略を多く用い,そのメタ認知方略を使用することが高いパフォーマンスにつながることが示された。一方,方略的楽観主義者はメタ認知方略の使用が学業達成には影響せず,学習時間が多いことが高いパフォーマンスを保っことができる理由だと考えられた。また,防衛的悲観主義者を達成目標によってタイプ化したところ,習得回避目標が高い防衛的悲観主義者と習得回避目標が祇い防衛的悲観主義者とでは,学業達成に違いが見られることが明らかになった。
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