本研究は、家族ストレス論の枠組みに依拠しつつ、家族がどのようにライフイベントに対処したかを検討する。縦断的データを分析したところ、以下の2点が明らかになった。1)出産を機に性別役割分業はさらに固定化され、妻の夫婦関係満足度は低下する。2)もともと社会経済的資源の少ない家族が離婚や失業を経験しやすい。夫が失業しても、性別役割分業が見直されることは少ない。妻による仕事と家庭の「調整」も難しい。経済環境は不安定ななか、社会全体でリスクを分かち合い、ライフコースを通じて女性の生活を支える仕組みを構築することが求められている。
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