研究課題
本年度は、平成20年度より継続している学術研究をさらに掘り下げると共に、いくつかの具体的な研究成果を広く世に広める活動を行った。以下、11の研究発表の内容を言及しながら研究実績をご紹介する。まず、小島武仁氏(米スタンフォード大助教授)との共著で、本研究を含むマッチング理論の実践的な応用研究に関する展望論文を『経済セミナー』誌上にて発表した。この分野はマーケットデザインとも呼ばれ、近年急速に関心を集めており、最先端の研究動向を紹介することは極めて意義深いと考えられる。次に、Atila Abdulkadiroglu氏(米ヂューク大准教授)とYeon-Koo Che氏(米コロンビア大教授)との共著論文が、経済学分野を体表する国際ジャーナルであるAmerican Economic Review誌にアクセプトされた。こちらは従来の学校選択制研究の流れに一石を投じると言う点で政策的な含意や示唆に富む一方、マッチング理論の新たな方向性をも示唆するユニークな研究である。両氏と前年度に完成させた別論文「Expanding "Choice" in School Choice」も現在改訂中で、草稿段階ながらすでにいくつかの関連論文から引用されており、学会で幅広く認知されつつある。他に特筆すべき実績として、NTT出版より2010年3月に出版された書籍を上げることができる。これは、研究代表者がフェローを務める東京財団仮想制度研究所において、プロジェクトリーダーとなって進めた、「学校選択制デザインプロジェクト」という研究チームの1年あまりにわたる研究成果をまとめたものである。学校選択制に関する学術研究だけではなく、実際の自治体へのヒアリングや、独自のシミュレーションなどを用いつつ、日本における学校選択制の政策提言を行っている。
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経済セミナー No. 647
ページ: 135-145
American Economic Review (近刊, 確定済)
http://sites.google.com/site/yosukeyasuda/
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