本研究は時系列的に日系企業の海外トップマネジメントの構築・継承プロセスの分析を主な目的としたものである。今年度は理論フレームワークとモデル構築、パイロット調査および21年度の本調査を実施するための準備作業を行う計画である。理論フレームワークの構築においては、リーダーシップのプロセス理論、計画行動理論、および認知理論を参考に、トップマネジメントの構築・継承プロセスのフレームワークを試行的に提出した。パイロット調査として中国アモイ、北京と上海日系企業3社の協力を得て、経営者へのインタビュー調査を行った。A社は現地進出してから日が浅いが、初代トップマネジメント層は試行錯誤を重ねながら現地のリーダーシップ構築に取り組んでいる。B社とC社はそれぞれ10年以上の経験があり、共に2年前後のペースでトップマネジメント層の入れ替えを実施している。両社の人事評価方法は少し異なるが、まずB社では他地域で業績を上げた幹部が中国地域のトップとなり組織改革に取り組んでいる。C社は先代経営トップの頃から蓄積されてきたリーダーシップカがこの数年間で低下してきており、中間管理職の離職が目立つようになっている。平成20年度より本調査実施する準備作業としてアンケート調査表の質問項目の作成に取り組んできた。先行研究を参考にしながら質問項目の決定を行い、トップマネジメントの継承に関する独自の項目として30項目を設定した。21年度はこの内容で書面及びウェブ調査票の手法により調査を実施する。
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