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2008 年度 実績報告書

イノベーションの収益化を左右する非技術的要因の探究

研究課題

研究課題/領域番号 20830069
研究機関産業技術大学院大学

研究代表者

陳 俊甫  産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 助教 (30513733)

キーワードイノベーション収益化 / 競争力学 / 競争の多元化 / 有機ELディスプレイ / 三項対立的分析
研究概要

本研究の目的はイノベーションの収益化に影響を及ぼす非技術的要因(競合主体間の競争力学とデザイン訴求力)を探究することである.この目的のために平成20年度では,有機ELディスプレイの事業化をめぐる「競合主体間の競争力学」にフォーカスし,既存文献のレビュー,関連資料の収集・分析,および関係者へのインタビューを行った.これらの調査・分析を通して次のような発見的事実と結論に至った.(1)競合主体間の競争の多元化によって,新技術に対する認識や開発のアプローチが錯綜し,新技術の技術的アーキテクチャーの転換可能性が高くなった.(2)既存市場における競争優位の早期奪回と既存企業からの競争的圧力によって,追随者(既存市場の競争劣位企業)は資源蓄積の多重利用に基づく競争的行動の展開が強いられた.これが新技術のコスト・パフォーマンスの向上に寄与したものの,逆に新技術が既存市場の競争優位企業の競争的土壌に吸い込まれ,ロックインされるようになった.そして(3)結果的に異なる性格をもつ競合主体間に繰り広げる競争の多元化によって,競争主体間の競争力学が変化し,新技術の研究開発そのものがある一定の成果を成し遂げたにもかかわらず,イノベーションの収益化には結びつくことができなかったということである.さらに本研究では,上記の結果から競合主体間の「直接的相互性」のみならず,その「構造的包括性」も視野に入れる新しい競争分析モデル-三項対立的分析-を抽出した.ここでいう三項とは,イノベータ,既存市場の競争優位企業,既存市場の競争劣位企業の三者である.現段階において,このモデルは特殊事例に限られたものであるが,時々刻々に変化し競合主体の参入と退出が常に繰り替えている競争市場の実態に鑑みれば,今後この新しい競争分析モデルの必要性が高まると考える.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イノベーション研究の再考 : コンカレント探索の必要性をめぐって2009

    • 著者名/発表者名
      陳 俊甫, 吉田 敏
    • 雑誌名

      産業技術大学院大学紀要 2

      ページ: 155-163

    • 査読あり
  • [学会発表] イノベーション創生のダイナミズム : 三項対立的分析フレームワークの試み2008

    • 著者名/発表者名
      陳 俊甫
    • 学会等名
      組織学会
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2008-06-07

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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