本研究目的は以下の三点であった。以下、その研究目的に沿って成果を示す。 1. 通常学級における特別支援教育のモデルが明確に提示する。 筆者らは発達障害を有する児童生徒が不適切行動を示すときに、彼らが、ある特徴的な認知のズレを有することに注目した。すなわち、過度に自罰的または他罰的であったり、問題の原因の所在がよく認識できていなかったりすることである。これらの特性を修正しつつ適応的な行動を身につけていく心理教育プログラムが、認知行動療法を取り入れた方法である。本研究では現場の先生方に認知行動療法の基礎とその応用例を認識してもらい、実施モデルを明確にしたうえで、評価等を行った。 2. 効果的で実証的な治療教育的支援法を十分に検討する。 協力参加校の管理職および担任の先生、特別支援教育コーディネーターの先生方を含め、年に数回の研修をもうけた。研究代表者がその学校の訪問し、子どもの様子を把握し、当該校の先生方にフィードバックした。職員研修にも積極的に参加し、当該児童生徒にあった支援の方法や、効果などを検討した。 3. 子どもを支援する教師への十分な支援体制が構築さていない 担任の先生は、「この方法が本当に適切であるのか」「本当に効果が表れるのか」について不安を持ちやすい。そこで研究代表者らの客観的観察以外にもCBCLなどの標準化された尺度を用いて子どもの変容や効果などを示していった。その際、保護者の方にも十分に説明を行い、子どもを取り巻く全ての大人が協力できるような環境を整備した。
|