本研究は、今日の地域の変容を踏まえ、地域情報の担い手に着目し、インターネットを活用した地域情報生成過程の変容の一端を解明することを目的に実施するものである。先行研究においては、地域SNS、電子会議室などの先駆的な取り組みに焦点が当てられ、各々の特徴や参加者の動向把握が中心であったが、本研究では、「担い手」という観点から、「地域」を切り口として横断的に各種取り組みを扱うことで、地域内における新旧の地域メディアの相互関係の把握・分析を行うことを企図している。 平成20年度においては、当初計画を踏まえて、下記の通り調査研究を進めた。 1.関連文献・資料収集 現在の地域メディア及び地域におけるインターネット活用動向の把握・実践的事例の収集。 2.パイロット調査 島根県隠岐郡海士町における実地調査(2008年9月)。行政及び住民に対して、インターネット活用の経緯・概況(地域ポータル、地域SNS、住民ディレクター等)に関してヒアリングを実施。当地域では、プロガーツアー等が開催されており、インターネットと現実の地域社会の融合が明らかになった他、Iターン者を中心としてインターネット情報の対外発信が企画されるなど、地域におけるインターネット活用の可能性が明らかになった。 3.アンケート調査 上述調査を踏まえ、全国の地域メディア事業者(約800)に対して質問紙調査を実施(2009年2月〜3月)したところ、130事業者より回答が得られた。ウェブサイトは全体の約6割において開設されており、自社の宣伝ツールとしての意味合いが強い一方で、媒体によっては、地域情報発信の有力な媒体として位置づけられていることが明らかになった。 4.中間分析・とりまとめ 上述の結果を踏まえ、地域におけるインターネットの活用状況と問題点・今後の可能性に関して把握・整理を行った。なお、21年度は、本年度の成果を踏まえて、地域情報生成過程に関して質的な面からアプローチしていく。
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