研究概要 |
1. 具体的内容 まず、海外における医療機関の広報の重要性をShelton, C. (1993)、Springston, J. et Rariscy, R.A.W (2005)、 Kirdar, Y. (2007)、Tengilimoglu, D. et al (2007)等から先行研究の検討を行った。 次に、日本の大学病院(国公立私立78施設)に対して、広報専門部署に関する質問票を回収した。 その結果、有効回答票19施設のうち、下記の3点について明らかになった。 (1) 4施設のみ広報の専任者がいる。 (2) 広報専任部署を設置していない理由として、半分以上の施設で人員不足・予算不足をあげている⇒代替機能として総務部・係が代行 (3) 広報がすべき情報提供として、専門部署が無い施設では、有る施設よりトータルで半分ほどしか情報提供をしていない。 一方、フランスの国立大学病院のひとつであるナンシー国立大学病院グループに対して、広報部(コミュニケーション部)の実態とはいかなるものかを明らかにし、今後の課題等を探索した。 その結果、コミュニケーション部の使命は、「病院内外とのコミュニケーションのフォローアップの確保」であった。また、次の5つの指標を活動実績で取り上げていたことが明らかになった。それは、(1) 院内に対するデイリーの情報提供数、(2) ジャーナリストに対するコミュニケ(Communique)数、(3) 出版物に刊行された記事数、(4) ウェブサイトへのアクセス数、(5) 閲覧されたウェブサイトのページ数、である。 2. 研究の意義・重要性 フランスの国立大学病院グループでの実例は、今後の日本の医療機関における広報部のあり方に関して示唆に富むものである。広報部がコミュニケーションをどうとらえ、内部および外部SHとどのような関係性を持ち、どう対処していくべきかは、これから広報部を設置しようとする医療機関のベンチマークとなると思われる。
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