研究概要 |
本研究の目的は、悪いロコミなどをはじめとする、企業やブランドに対する否定的情報の影響の実態とプロセスを解明することで、これらに対処するために有効な戦略を提言することである。 本研究は2つの研究で構成される。まず研究1として、企業やブランドに対する態度がどのように形成されるのかを明らかにする。人間の態度は「感情に基づくもの」と「認知に基づくもの」の2種類に大別できるという態度理論に着目し、企業やブランドへの態度もこの2つの次元から形成されている可能性を検討する。研究2では、こうして形成された態度に対する悪いロコミの効果を解明する。具体的には、「感情に基づいた態度」と「認知に基づいた態度」のどちらがより悪いロコミの影響を受けやすいのか、消費者に実際に悪いロコミを読ませる実験を行うことで明らかにする。 平成20年度は、研究1を実施した。具体的には、企業やブランドに対する態度が「感情に基づくもの」と「認知に基づくもの」の2つの次元から形成されているかどうかを検討するため、20代から60代までの一般市民約1000名を対象とし、ブランドジャパン(日経BP社,2008)などで常に上位にランクインしているブランド名を30種類提示して、認知的評価(品質が高い、技術力がある等)と感情的評価(かわいい、おしゃれな等)を測定した。因子分析の結果、「感情に基づく態度」と「認知に基づく態度」の因子が抽出され、調査対象となったブランドの評価構造が明らかになった。実際に市場に出回っている商品ブランドの評価において、理論的予測に従ったデータが得られたことは、高く評価できる調査結果である。この中から、「感情に基づく態度」と「認知に基づく態度」の両方の尺度で評価が高かったブランド、片方の尺度のみで高評価だったブランドを抽出し、研究2へと進む準備を行った。
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