本研究では、経済・イデオロギープロジェクトとしての新自由主義政策のグローバルな受容過程に平行して、次第に社会問題化してきた新自由主義国家の刑罰論的転回について、特に、米国の事例から検討を加えた。具体的には、(1)新自由主義国家の刑罰論的転回と(2)都市周縁層論を理論的課題に据え概念的整理・検討を行なった。また、米国の不法移民の日雇い現場のフィールドワークを継続的に行い、社会的周縁層の内実についての考察を進めている。本研究成果は、今後、国内の若年滞留層の社会的排除の研究とともに、日米比較研究へと展開していくための理論的・実証的基盤を構築した点にあるといえよう。
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