1本研究の目的と本年度の研究実績 本研究は、日本植民地期の台湾を事例に帝国日本による植民地化の実態を経済面に着目して検討することを目的とした。そして植民地期台湾の対外的な流通経路の変化を台湾総督府の役割や流通の担い手に着目して実証的に考察した。具体的に本年度は、昨年度および本年度の研究を取りまとめた博士学位申請論文(課程)「帝国日本の流通ネットワーク-台湾の植民地化と流通機構の変容に関する研究-」として早稲田大学に提出した。なお、2010年6月には、博士(学術)を取得する見込みである。 2研究実施計画と本年度の研究実績 本研究に関わる本年度の研究実績・活動は以下の通りである。『社会経済史学』第75巻第1号に「函館における海産物移出の展開と植民地商人」が掲載された(4月)。『立教経済学研究』第63巻第3号に「戦間期における青果物流通機構の形成と『帝国』-台湾バナナを事例に-」が掲載された(1月)。『歴史と経済』第208号(2010年7月刊行予定)に「戦間期における台湾米移出過程と取引主体」の掲載が決定した(9月)。これらの論文を執筆する準備として、北海道大学附属図書館(4月)、国立中央図書館台湾分館(5月)、山口大学東亜経済研究所(6月)、国立中央図書館台湾分館・国史館台湾文献館(7月)、大分大学経済学部教育支援室(9月)、国立中央図書館台湾文献館・国史館(11月)、函館大学図書館(3月)を訪問し、台湾を中心とする旧植民地関係資料の収集を行った。
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