本研究では、住開発の国際NGOであるハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナル(以下、HFHI)のアジア太平洋地域での活動を例にとって、多国展開を進めるNGOの戦略を検討し、NGOの志向性がグローバル化のなかでどのように変化しているかを分析した。2000年代中盤以降、HFHIは地元のNGOを活動主体とした分権型の組織体制を見直し、ナショナル・オフィスを中心とする集権型のモデルを導入し始めている。この転換の背景には、効率化/合理化を図って、活動範囲の拡大と団体の存続性を求めるNGOのあり方がある。グローバルな規模で市民社会レジームが台頭するなか、現代のNGOは従来からの「社会運動体」としての役割を超えて、「組織」として持続的に成長していく道を模索している。
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