この研究では、財源の側面から地方自治を支えるために自治体の財源を確保させる制度である自治体財政調整を素材として、日独比較法研究の手法により憲法の地方自治・自治体財政保障の構造を明らかにすることを試みた。その成果の概要は下記の諸点の通りである。(1)自治体財政調整は憲法による地方自治の保障の財政上の基盤としてその形成が要請される制度である(2)自治体財政調整には自治体の事務区分ごとに異なる財政保障機能(事務適正供与保障・最少供与保障)が与えられており、その機能は自治体財政調整の制度形成のいかんを問わず普遍的に妥当しうる(3)ドイツにおける自治体憲法異議を通じて導出された自治体財政調整の憲法的意義付けは特殊ドイツ的なものではなく、我が国の裁判例における地方自治・自治体財政の解釈論にも援用可能である。
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