研究概要 |
知的財産マネジメント概念を構築するため,特許権のエンフォースメントと企業におけるマネジメントを国際比較の観点から分析した。第一に,1880年代から1941年までのゼネラル・エレクトリック社(GE)およびその前身企業の取得特許に関するデータベースをアメリカ合衆国特許商標庁発行媒体より作成した。約2万件の特許をデータベース化し,アメリカ企業における特許管理の発生と初期の展開を明らかにした。その成果の一部は大学紀要論文として発表した。第二に,ウェスチングハウス社における特許管理の展開について,ハインツ歴史センター(ピッツバーグ)にて史料収集作業を行い,とくに国際経営戦略と特許管理に関する史料を収集することができた。ウェスチングハウス社の事例分析はゼネラル・エレクトリック社の事例を相対化し普遍化していく上で必要であり,その作業の端緒となった。第三に,日本における知的財産マネジメントの展開を国際技術移転との関連でまとめ,その成果の一部をユトレヒト大学(オランダ)で開催された国際経済史会議で発表するとともに,欧文紀要に英語論文として発表した。日本企業における知的財産マネジメントの展開をアメリカ企業における展開と国際比較することができ,さらにアメリカ企業の国際特許管理が日本企業の知的財産マネジメントの展開と深く結び付いているという国際関係史的な視点を提起することができた。第四に,現代のグローバル企業における知的財産マネジメントがどのように行われているかについても分析を行い,共著として発表した。
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