本研究は、現在社会問題としてクローズアップされている介護労働者(ケアワーカー)問題の本質的課題をあきらにすることと同時に、社会化された介護サービスを担うケアワーカーの質と量はどうあることが望ましいのか、ケワーク労働の特性から教育や研修の必要性と内容について探究することにある。本研究がケアワーカーの社会的評価の向上に寄与できることを最終目的としている。 上記の目的に沿って、平成20年度実施した「介護技術講習会に関する」量的調査は、SPSSによるクロス集計とχ^2検定を行い興味深い知見が得られた。まず、講習会に対する受講者の満足度、理解度、意識の向上などともに好結果となった。しかし、この結果は本講習会を受講することにより国家試験免除ということが前提にあるためと思われる。講習会の内容そのものより、受講すること自体に意味があったと考えられる。しかし、理解できたと回答しながら、各単元において難しいと感じた内容は、(1)医学的知識(2)声のかけかた(3)判断力(4)人権感覚などに集約されていた。つまり、ケアが人間に関する情報と長期にわたる随時適切な判断力を必要とする労働であるということを改めて裏付けるデータであり、教育が必要であるということにもつながる。この調査結果は、H20年11月に日本介護福祉学会にて発表している。現在、論文に書き下ろしの途中であるが、これらの結果を踏まえ、介護労働の特性と教育内容について更に追求していくことが必要であると考えている。
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