本研究は、現在社会問題としてクローズアップされている介護労働者(ケアワーカー)の本質的課題を明らかにすると同時に、社会化された介護サービスを担うケアワーカーの専門性とその養成教育について探求することにある。ケアワークの特性をあきらかにしながら、ケアワーカーの社会的評価の向上に寄与することを最終目的としている。平成21年度は、文献研究と実地調査を通して福祉国家レジームからケアワーカーの国際比較をおこないケアヮーカーの概念整理をおこなった。そのとにより日本におけるケアワーカーの特殊性があきらかになった。さらに、平成20年度に実施した「介護技術講習会に関する調査」結果を参考に、施設と在宅で働く介護福祉士のタイムスタデーを通してケアワーカーに求められている能力について質的調査をおこなった。 介護は、高齢や障害等によりどのような状態になろうとも普通の人が普通におこなっている日常生活を普通にできるように援助・支援することである。利用者の気持ちを汲み取りながら生活意欲を引き出し、生活能力の維持・回復・向上を目指した援助を組み立て実践していく援助である。プライベートなその人の暮らしの中に入り込み、信頼関係を築きながら、共に考え話し合いながら、継続的・重複的に、見通しを立てながら進めていく。一つひとつの関わりが、ダイナミックな関わりであり本人とその家族の暮らしにつながっているがゆえに、ケアワーカー一人ひとりのトータルな質が問われる仕事である。すなわち、ケアワーカーには(1)コミュニケーション力(2)問題解決力(3)技術力(4)チームワーク力が求められる。それらを踏まえて、ドイツにおけるシュタイナー教育視点からのアルテンフレーゲンの養成教育の現地調査から、今後の介護福祉士養成教育への多くの示唆を得ることができた。
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