平成21年度では、解体業の業務内容を理解するにつれ、果たして、解体業をはじめとする静脈産業へMFCAを適用することが可能なのかどうか、そして、理論上可能であれば、それを検証することが重要ではないかという問題意識が芽生えた。 その結果、今年度では、MFCAの適用可能性に関する理論研究に終始し、以下の結論を導いた。 ・自動車静脈産業へのMFCAの適用可能性について 自動車解体業の生産プロセスにて「正の製品」および「負の製品」がアウトプットされる。したがって、自動車静脈産業へMFCAを適用することは可能である。 ・MFCAを適用する意義について MFCAを静脈産業に適用することで、「産業全体」としての「負の製品」は、静脈産業からアウトプットされる「負の製品」であると表すことができる。MFCAによって、「負の製品」の物量情報だけでなく金額情報をも示すようにすることで、資源循環型社会を支える静脈産業が、(「正の製品」のアウトプットによって)産業全体の「負の製品」の削減に貢献していることを、わかりやすく示すことができる。つまり、静脈産業へMFCAを適用することによって、静脈産業の社会的貢献を示すとともに、彼らの社会的評価が高められることを可能とすると考えられる。
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