研究概要 |
平成20年度は、研究1として、短大入学時からの「居場所環境」形成プロセスの検討を行うために、インタビュー調査を実施した。対象は、2年生8名、時期は2月〜3月、内容は主に大学に入学後にできた新しい「居場所」について、その形成プロセスを半構造化面接により聴取した。M-GTAの手法を用いて分析中である。その結果をもとに平成21年度2月〜3月に追加のインタビュー調査を実施し、「居場所」の形成プロセスのモデルを構築する予定である。ついで研究2として、「居場所環境」形成に影響を及ぼす規定要因(個人特性・短大の学生支援プログラム)の探索的検討を行うために、短大生175名に対し、1回目の質問紙調査を行った。内容は、大学における課外活動の参加有無と満足度、性格傾向尺度、大学生活不安尺度、個人の「居場所環境」、大学における居場所の心理的機能尺度である。その結果、大学の課外活動の中で、大学における「居場所」の心理的機能(「自由」「精神的安定」「自己肯定感」「被受容感」の4つの下位尺度)と関連が認められた。「1年次最初の1泊2日の学外オリエンテーション」の満足度が高いと4つのすべての下位尺度が有意に高く、「委員会活動」の満足度が高いと「自由」「精神的安定」「自己肯定感」が高く、「サークル活動」の満足度が高いと「自己肯定感」が高いことが示された。最後に研究3として、「居場所環境」形成がアイデンティティ,キャリア・アイデンティティ確立に及ぼす影響の検討を行うために、短大生175名に対し、1回目の質問紙調査を実施した。内容は、自我同一性尺度、職業レディネス尺度、時間的展望尺度、個人の「居場所環境」、大学における居場所の心理的機能尺度である。研究3は、縦断的検討を目的としているため、平成21年度6月に同じ調査協力者に対し、同様の質問紙調査を実施する予定である。
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