研究概要 |
本研究は平成20年度〜21年度の2カ年計画であり、その初年度実績について報告する。 現実の育児・保育場面では,多くの先進国において絵本などのメディアが利用されているが,これらが乳幼児に及ぼす影響については不明な部分が多い.親・保育者の経験則に基づいてメディアが選定され,利用されているのが現状である.つまり,大人の観点から選定されたメディア,またそれらの使用法が,乳幼児の実際の認知に合致しているかどうかは,科学的・実証的には未だ明らかでない.これを明らかにするためには,まず乳幼児と親・保育者それぞれのメディアに対する認知がどのようなものかを検討し,比較する必要がある.本研究では,乳幼児向けの絵本・アニメーションを見ているときの乳幼児・成人の眼球運動を解析・比較し,乳幼児のメディア認知を成人との比較から明らかにすることを目的とする. 平成20年度において、11名の学生,および乳幼児健診月齢として4, 9, 18, 36ヶ月の乳児54名から基礎データを得ている.現在のところ、成人は絵本の文字の領域から見るが、乳児は絵の領域から見るという傾向が確認されている。また、乳幼児においては、絵本によって、文字領域と絵の領域の注視時間の割合が異なる傾向もみられる。さらに、49人の保護者に対してアンケート調査を行った結果、保護者における絵本の選定には多様性がみられる一方、ほとんどの保護者が選択する絵本も存在した。しなしながら、いずれも統計的結論を導くにはサンプル数が不足しており、平成21年度においてサンプル数を追加し、成果を発表していく予定である。
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