本研究においては、インターネットを介した学術コンテンツの流通の促進に供するため、著作権者の要求、意図、背景と現状のギャップを明らかにし、それに基づき利用許諾作成のための複数の雛型を導き、加えて著作権者に対するその雛型選択のための指針を示すことを目的としている。 平成20年度は、まず国内の大学、研究機関、学会誌を発行している学会等に対して、学術コンテンツに関してどのような権利を、誰が保持しているのかについてアンケート調査を行い、現状を整理し明らかにする計画であった。しかし、アンケートを作成するにあたり、既存の配信サイトにおいて配信を行っている国内外の大学、研究機関、学会、教員、研究者などが提示している利用許諾条件に関する調査を先に行う方がアンケート内容の充実をはかることが可能であると分かり、まず利用許諾条件の現状を明らかにすることを行った。そして、各著作権者、機関がどのような利用許諾条件を提示しているかを調査し、利用許諾に一定の傾向がみられることがわかった。これは、各教員や教育機関に対するアンケート調査を実施するうえで、重要性が高い成果である。現在、当初予定していた著作物の帰属に関するアンケートと合わせて、インターネットを介した学術コンテンツの流通における利用許諾に関する要求、意図、背景についてアンケート調査及びインタビュー調査の準備中である。送付先(教員、教育機関)の情報が、何千件にものぼり、今後どのようにアンケート調査先を絞っていくかの検討が重要となると考えられる。
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