研究課題
平成21年度は、利用許諾条件=ライセンスと解釈し、インターネット上でコンテンツを流通させる際のライセンスを特に検討した。インターネット上のコンテンツは、Creative Commons Licenseなどのように一定の要件は求めるが、利用、改変を認めるものが多い。ただし、著作権表示を要件とすることが一般的である。今年度の研究では、そのような要件においては、実際の裁判等になった場合、損害賠償請求は出来るとしても、差し止めまで求めることが出来ない場合があることが分かった。オープンソース・ライセンスというコンピュータプログラムに関するライセンスがある。これは、Creative Commons Licenseが作成された際、参考にされたものである。このオープンソース・ライセンスの種類の一つであるアーティスティック・ライセンス(Artistic license)の有効性について問われた判決がある。Jacobsen v.Katzerである。そのコードを配布する際、元の著作権表示が失われないようにすることや、その後そのコードを改変して配布を行った場合にも、改変を追跡できるようにするための記述を行うことなどを義務付けているが、Katzerは、そのコードの一部を修正して配布する際に、これらの条件に従わなかった。カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所では、これらの条件は、契約上の約束であって、ライセンスの範囲についての条件ではないとして、著作権侵害を否定し、差止請求を認めなかった。これは、高裁レベルでは差し戻しとなっているのであるが、利用許諾において、「著作権表示」を求める際に、「著作権表示を」ただ利用許諾に含めるだけではなく、何らかの対策を取る必要があることを指摘した。
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Proceeding of The 2nd International Workshop on Requirements Engineering and Law(RELAW'09)at RE 2009 1
ページ: 39-44